今年も夏がやってきますね。
夏休みやお盆休みの時期となります。
学生の方はあまり「お盆」という言葉自体使わないかもしれませんが、社会人になるとお盆休みやお墓参りについて話題が出たりします。
お盆お盆といいますが、お盆とはいったい何のことを言っているのでしょうか。
こちらの記事では、
・祖霊信仰
・お盆の呼び名
・お盆の由来
・お盆行事の背景
・日本でのお盆の始まり
についてご紹介します。
・祖霊信仰
お盆は日本で夏に行われる祖先の霊を祀る行事です。
日本では祖先のことを「ご先祖様」や「ほとけ様」などと呼んでいます。
お盆は、日本古来から続く、祖霊信仰(それいしんこう)と仏教とが合わさった行事です。
祖霊信仰は祖先崇拝(そせんすうはい)ともいわれ、亡くなった祖先が今生きている者の生活に影響を及ぼしている、と考える信仰です。
先祖を崇拝する信仰は、アフリカやマダガスカル、東アジアなどで行われています。中国や朝鮮、日本などの東北アジア地域の祖先崇拝が特に有名だそうです。
キリスト教やイスラム教が根付いた地域においては、祖先崇拝はほとんど行われていないそうです。
祖霊信仰は、なんと縄文時代後期から行われていて、環状列石(かんじょうれっせき)といわれる、自然の石を環のように並べた形で祀られたり、儀礼が行われたりしていました。
・お盆の呼び名
さて、お盆の正式な名前は、盂蘭盆会(うらぼんえ)、盂蘭盆(うらぼん)で、「お盆」という呼び方は省略形とされています。
盆という字は本来、霊に対するお供え物を置く容器を意味していて、盂蘭盆と混同されて融合したという説もあります。
・お盆の由来
仏教の経典である盂蘭盆経(うらぼんきょう)に書かれた説話が由来であるとされています。
目連の伝説・・・
釈迦の主要な弟子のひとりで、古代インドの修行僧である目連(もくれん)が、安居(あんご)の最中に餓鬼の道に落ちてしまった亡き母を見つけました。
安居とは、僧侶が一定の期間、1か所に集まり集団で修業を行うことです。
母親に水や食べ物を差し出しましたが、全て口に入る直前に炎となり、口に入ることはありませんでした。
哀れに思った目連が釈迦に相談すると、釈迦は「安居の最後の日に全ての比丘(びく)に食べ物を施せば、母親にもその施しの一部が口に入るだろう」と答えました。
比丘とは、仏教における出家した男性の修行者のことで、信徒に教えを説き教団を維持する役割を持っています。
そこで目連は、釈迦の言う通り、安居の最終日に全ての比丘に施しを行いました。
すると母親は餓鬼の道から抜け出すことができました。
・・・というお話です。
・お盆行事の背景
行事としての盂蘭盆会は、中国の民俗信仰と祖先祭祀を背景に、仏教思想が加わったものです。
仏教では、安居が終わった日に信者たちが僧侶を癒すため、飲食などの奉仕をする行事がありました。
奉仕するとともに、父母や七代さかのぼったの父母の供養を行うことで、延命長寿や餓鬼の苦しみから逃れる功徳が得られるとされました。
そこに、儒教の孝の教えの影響を受けて盂蘭盆会の行事は成立しました。
孝の教えとは、子どもが自身の親を敬い支えるべしとする考え方です。
・日本でのお盆の始まり
飛鳥時代の657年、斉明天皇の時代には盂蘭盆会が設けられたと記された書物があるようです。
659年には「盂蘭盆経」が記録されているそうです。
733年、聖武天皇の時代には宮中の恒例行事となり、盂蘭盆供養などとよばれ、8世紀頃に確立されたと考えられています。
そこから現代まで続いている、歴史の深い行事なのですね。
【まとめ】
いかがでしたか。
こちらの記事では、
・祖霊信仰
・お盆の呼び名
・お盆の由来
・お盆行事の背景
・日本でのお盆の始まり
についてご紹介しました。
お盆は、祖霊信仰に仏教の教えが融合して現在に繋がっている行事なのですね。
縄文時代から祖先を祀っているなんて、亡くなったご先祖様の魂は、今の私たちとどこかで繋がっているのかなと思えてきますね。
興味深いのが餓鬼の道で、餓鬼には生前に行った行為に対してたくさんの道が用意されています。
どれも想像を絶する辛いもののようです。
ご先祖様は私たちの行いを見ています。
私たちは餓鬼の道に落ちないよう、思いやりのある正しい行いをしたいものですね。
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